今回は、オフィスチェア『GrowSpica Pro(グロウスピカ プロ)』をレビューしていきます。
常に座っていると健康や腰に悪いとずっと言われていますが、この椅子は立っているのと同じ“S字カーブ”の背骨で座ることができるというスゴイ製品。
そこの丸いパーツなら結構どのオフィスチェアにも付いてるよ~と思うかもしれませんが、圧と硬さが全然違います。姿勢悪いやつにはちゃんと乱暴してくる。
つまり、後ろの圧から逃げていれば勝手に姿勢が良くなる。なんて拷問みたいな言い方になってしまいましたが……普通に人間工学に基づいて姿勢を正してくれる良い椅子でした。
もちろん腰以外にも姿勢を保つための様々な工夫が搭載されているので、しっかり使って正直にレビューしていきます。(商品提供:Rasical)
グロウスピカ プロ:概要
全体サイズ | 幅518×奥行670×高さ1080-1328mm(昇降式) |
重量 | 21.1kg(体重は135kgまで) |
メッシュ | WINTEX製フルメッシュ |
フレーム | ポリマーナイロン+ガラス繊維+ポリプロピレン |
アームレスト | ポリマーナイロン+20%ガラス繊維+PU(ポリウレタン)CFCsなし |
キャスター | ポリマーナイロン+PU(ポリウレタン)CFCsなし |
シリンダー | KGS製 |
『GrowSpica Pro(グロウスピカ プロ)』は人間工学に基づいて作られた、姿勢を保ちやすくなるオフィスチェアです。
過去のクラウドファンディングでは90日間で3,778万円を集めた期待の製品。執筆時点では黒色に加えて白色も増えていました。
リクライニングは最大135度まで倒すことができ、オットマン(フットレスト)も搭載されています。各部位の高さや角度を柔軟に調整できますが、座面の前傾姿勢はできません。
高級オフィスチェアとしての要素がしっかりと備わりつつも6万円台という高コスパ。
単純な価格と性能で他製品と比較をしてもいいのですが、特に“姿勢を正させる”という強い意志を感じられる椅子です。(執筆時点では東京・大阪で体験展示あり)
グロウスピカ プロ:開封
それでは『グロウスピカ プロ』を開封していきます。
サイズは以下の通りですが、ダンボールの総重量は約28kgで中々重いので注意。(製品自体は約21kg)
箱の中にはパーツたちがびっちり詰まっていました。
発泡スチロールなどが少ないので後片付けが楽かと思いきや、全て“組み立てられたダンボール”でガードされているので捨てるのが結構大変。
中身はこちらが全部で、ご覧の通り椅子のほとんどが完成している状態で入っていました。
組み立ても工程が5つほどあるだけでとても簡単。それこそダンボールを捨てる作業の方が大変なレベルかもしれません。
小箱の中には付属品と説明書などが入っています。
ネジなども個数が合っているか確認しておきます。どちらも予備が1つずつあるのが親切。
六角レンチの片側がドライバーになっているので、道具の準備なども必要ありません。
軍手をしてみましたが、ただの安っぽい軍手ではなくて指先に滑り止めが付いているタイプで使いやすいです。滑るパーツが多いのでこれもありがたポイント。
完成後のダンボール処理でも使い回すのをおすすめします。
グロウスピカ プロ:組み立て
『グロウスピカ プロ』を説明書に沿って組み立てていきます。(機能紹介までスキップ)
ちなみにダンボールの中に“説明ダンボール”が入っていて、大きく見やすいので組み立て中は説明書より活躍しました。というか工程の少なさに驚き。
ハンガーを付けない人にとっては実質4つの工程だけ。女性でも10分ほどあれば組み立てられる気軽さですが、しっかり紹介していきます。(重さは中々なので注意)
ステップ1:キャスターとシリンダーを装着
本体はできているので脚から作っていきます。キャスターを裏側に挿し込んでいくだけ。
結構ググっと押し込みます。(撮影のためにデスク上でやっていますが、傷がつくのでマネしないでください)
5つ挿し込んだらひっくり返すだけ。
「シリンダー」という軸を脚の中央に挿し込みます。黒くて太い方を下にして置きにいくイメージ。
ちなみに一般的なシリンダーは100ストロークの製品が多いですが、グロウスピカは120ストロークまでいけるようです。脚の長い人にも合わせられる。
カチッとかはなく、ググっと入れるだけでした。
簡単。それっぽくなってきましたね。
ステップ2:本体にベースを差し込む
完成した脚に椅子本体を取り付けていきます。説明書にある通り、本体を横に倒した状態だと作業がしやすかったです。
重い本体を持ち上げて、裏側の見えない穴にピッタリ挿し込むのは結構難しかったのでおすすめしません。というかやらないでください。
特にネジなども必要なく、本体に重さがあるので挿し込んで終わりです。実は座るだけならもう完成済み。
残りの工程では、椅子をより快適に使うためのパーツを増やしていきます。
ステップ3:ハンガーの取り付け
ヘッドレストにハンガーを装着。必須ではありませんが、先にヘッドレストを本体に付けてしまうと後からハンガーを取り付けるのは少し大変です。
秋に着そうな軽めのカーディガンや、冬の重たい上着まで滑り落ちずに掛けられました。(寝ようと椅子を倒すと床に擦れる)
細い横長のスペースにヘッドレストを差し込みます。頭の後ろ側にハンガーが付くことを想像すれば向きは簡単。
と言いつつ挿し込むのが結構難しいです。「片側ずつ入れると先が折れるかも」と書いてありますが、両側を均等に入れつつも交互に片側ずつ入れ込むような…少しコツがいる感じ。
位置に関してはネジを六角レンチで固定します。ネジ穴などはありませんが、きつく締めることでヘッドレストに直接当て込む設計でした。
あまり設置場所が下過ぎると、ヘッドレストの高さを調節する時にハンガーより下に降ろせなくなってしまうので注意。
上限に関してはちょうど曲がっている部分あたりが限界なので、その辺りの高さがおすすめです。衣類が床に付きづらくなります。
ということで順番がブレましたが、ヘッドレストの完成後はこちら。
この状態から本体に挿し込んでいくので、ハンガーを付けるなら今!
ステップ4:ヘッドレストを背もたれに挿入
椅子の後ろ側の穴にヘッドレストを挿入していきます。
ここはハンガーを付ける時より簡単でした。縦に近いナナメの角度からパワーで押し込むのみ。
奥までググっと入れてもいいですが、そのままこの部分を上下させてヘッドレストを調整する作りなので、とりあえず先端が見えなくなるまで挿せばOKです。
ヘッドレストを付けない場合に使うフタも付いていました。
「姿勢を正すというより、リラックスしたい」という方なら、ヘッドレストの主張がなかなか強いのでフタしてしまうのも全然ありだと思います。
ステップ5:フットレストを取り付けて完成
座る部分の裏側にフットレストを付けていきます。
やることは両端に筒状の穴が用意されているので棒を通すだけでした。シンプルに見えますが体重を預けても全く問題なし。
ネジは何を固定するのかな?と思いましたが“ネジを付けること”に意味があって、頭の大きさで筒から棒が外れなくなります。
限界まで引き出してもネジ1つだけで支えてくれました。体重は55kgほどですが、勇気を出してズシーーンと脚を載せても大丈夫。
そしてフットレストの動かし方が少し特殊だったので動画に撮ってみました。
ノブを奥側に回してフットレストをカチカチと持ち上げる…なんですけど少しだけ戻してから上げるイメージです。逆も同じで少し上げてから戻す。
ということで完成。撮影する時間などを含めないと10分ほどでしょうか。
あとは調整などをしながら使うだけ!
高さ調整など全機能の紹介
「自由自在に変化する、万能ワークチェア」という見出しの通り、複数のパーツが調整可能だったので一度まとめてみました。
高さ(昇降式) | 床から46.5~58cm |
ヘッドレスト(頭) | 奥行14.5~21cm/角度は38度 |
アームレスト(腕) | 高さ、前後、左右、斜め(横方向) |
リクライニング(背中) | 90~135度/4段階 |
ランバーサポート(腰) | 奥行2.5cm/4段階 |
背面(高さ) | 高さ7cm/14段階 |
座面(前後) | 奥行60mm/5段階 |
ちなみに前傾姿勢には対応していないので、座面が斜めになることはありません。強いて言えば丸みが強いので自分が前側に動くと少し楽にはなります。
よく椅子にあるレバーは右側面に1つしかありませんが、3種類もの調整が可能。
- 上(↑)に傾ける:座面の奥行き調整
- 右(→)に傾ける:椅子の高さ調整
- 下(↓)に傾ける:リクライニングの角度調整
中心(・)に戻すことで全ての調整を固定できます。これは画期的。
もう1つ右側にハンドルが付いていて、体重が軽かったり小柄な方でもリクライニングした時に椅子がしっかりと傾くように圧力が調整できるようにもなっていました。
ちなみにレバーなどを説明していない部位は触れば動きます。アームレストはむしろスイッチ式がよかったなぁ。
グロウスピカ プロ:レビュー
めちゃくちゃ姿勢が悪い、身長164cmである男のレビューになります。変に姿勢を正そうとして反り腰する癖が付いてしまったので矯正中。
椅子はこれまでウレタン(クッション)や合成皮革(ゲーミングチェア)など使ってきましたが、ここまでパリッとしたメッシュは初めてです。1年中安定しそうな通気性と臭いの残らさに感動。
ということで、まずはメリットを中心にレビューしていきます。
アームレストの機能性が優秀
グロウスピカはアームレストの機能性が優秀です。シンプルで使いやすい。
他製品だと細くなっていたり円を描いているのですが、やっぱり平らで幅広が最強です。正直デザインは少しチープに見えてしまいますが。
高さだけでなく横への平行移動やナナメに調整できる作りでもあるので、ほとんどの人は最適なポジションに肘を置けるかと。
正しい姿勢を作ろうと肘の角度を直角(90度)にした時に、何も坂がなく広めの空間があるので快適。
ただ個人的にはアームレストが決めた配置から1ミリも動いて欲しくないので、レバーなどがある方が好みでした。
自分に合った形状に調整できる
機能一覧でも紹介しましたが、7種類のパーツを細かく調整できるので自分にフィットする椅子が作れます。
と言ってもいじれる部位は15万円ほどのオフィスチェアと同じくらいだったり。(倍以上の価格帯と同じレベルなのが凄い)
少し惜しいのが前傾姿勢できないのと、アームレストの斜め角度が少し弱いくらいですね。
この記事では「ランバーサポートの圧が強い」とやたら紹介しているのですが、手前にカタタッと引き出すことで圧が少し弱まることも分かりました。
姿勢を正す目的からは逃げることになってしまいますが、逆に体を痛めたり、この椅子が嫌いになってしまうくらいなら楽な方へ逃げるのもありかなと。
というか“姿勢を良くする”という固定観念にとらわれていたのですが、こんだけ色々調整できるということは姿勢を正さないリラックスした体勢にもなれるんですよね。頭が固かったです。
素材の統一感とデザインが良い
概要でもまとめた通り、大体のパーツがポリマーナイロンでまとめられていたり、体の当たる部分がほとんどフルメッシュなのでデザインに統一感があります。
こういった椅子に使われがちな“金属系のパーツが反射しまくる脚”だとデスク周りの印象が大きく変わってしまいますし、落ち着いている色だと仕事部屋にピッタリという感じ。
背中部分がメッシュで座面がクッションの椅子も結構ありますが、正直値段が高くても分からないくらい安く見えてしまうので材質も大事ですよね。
黒一色のシックなデザインにまとまっているのも良いです。強いて言えば、少しざらついたラメの光るような質感が気になるくらい。
アームレストも含めて、触ったり使ってみれば良さが分かるのに、少し見た目が安っぽく見えてしまうのはポリマーナイロン製の難しい部分なんでしょうか。(何様)
グロウスピカ プロ:気になるところ
『グロウスピカ プロ』を使っていて、気になった部分も紹介していきます。
ランバーサポートの圧が強い
ランバーサポートが硬いので圧迫感を感じます。というより背もたれや座る部分も含めて、肌の触れる部分はほとんど大根がおろせそうなほどの硬いメッシュ素材。
爪で軽く引っかいてみると、まるで楽器かのように反響音が聞こえます。
姿勢を保つことを重視しているので“添える”くらいを想定しているのかと思いますが、やっぱりまだ姿勢矯正中の身としては後ろに寄っかかりたいところ。
サボって後ろに重心を預けていると「ほらっ姿勢を正せよ!」と言わんばかりの圧で押し返されます。というか最初から勝ててませんね。
スタンディングデスクで立ち作業。疲れたらこの椅子に座る~って生活をしていますが、正直休まっている気はしません。集中&姿勢矯正。
姿勢を直したい人に対して“直そうとしてくれるパーツ”をあてがって、それをデメリットだなんておこがましいと思いますが…。気になる部分としては紹介せざるを得ません。
アームレストが少し安っぽい
メリットではアームレストの安定性や機能性を紹介しましたが、少し安っぽいというデメリットも感じました。
弾力性があるので指で強く押すとググっと沈みますし、安い材質でないのは分かっているんですけど、見た目はなぜかゲーミングチェアなどに近いプラスチック感。
高級チェアの割にはチープに見える質感だったり、少し力を与えただけでカタッと動くのも気になるんですよね。
公式サイトでは「ボタン等を押さずに引っ張るだけで調整可能」と記載されていますが、要するにレバーなどを搭載していないので軽く動いてしまうということ。
上下移動に関しても、グロウスピカは一段階上げてしまうと一段階下げることができず、「一番上に伸ばす → 一番下に戻す → 調整する」という段階を踏まないといけないので少し面倒です。
その一方通行な構造のおかげで上からの重さには強くなっているのですが、細かい調整には弱め。
離席から戻ってきて流れでアームレストを掴むと“ガタタッ”となって「ハイハイ、上げて~下げて~調整ね」と超面倒。メモリ単位でアームレストのベストな配置を定めている人には優しくないです。
リラックスより姿勢矯正が目的
全体的に柔らかい部分というものが存在しないです。ゆったり寄りかかってリラックスしたい~という目的で買うと痛い目見るかもしれません。(そんなカッチカチとかではない)
メッシュ素材の張りがパリッとしてるので、服装面でも家のリラックス状態などで露出した格好をしていたら肌が当たる部分のざらつきが気になったり。
皆が寝られる寝られると褒めていて、確かに体重を預けた時に安定感があってフットレストもあるので寝られます……が、「これ、寝てて落ち着く? マジ??」という感じ。タイマーとメリハリをつけて布団に直行した方が絶対いい。
その分、少ないメッシュの量で体を支えられているので通気性が良く夏場は蒸れづらいです。自分はずっと蒸れに悩まされていたのでこれは良さを実感しました。
薄めの生地ではない服をしっかり着ているなら何も問題ない、どころか素晴らしい性能。個人的にはもうクッション型に戻れません。
こういう部分も含めて本当に「仕事に集中!姿勢矯正!」というデザインに感じられますね。
グロウスピカ プロ:まとめ
- アームレストの機能性が優秀
- 自分に合った形状に調整できる
- 素材の統一感とデザインが良い
- ランバーサポートの圧が強い
- アームレストが少し安っぽい
- リラックスより姿勢矯正が目的
自分の姿勢が悪いからこその“気になる部分”が多かったと思いますが、同じ境遇の方の参考になれば嬉しいです。(ランバーサポートのことを言い過ぎ?)
もちろん適材適所があるので、硬くて痛いし全然休まらないから低評価~!なんてのは筋違いですよね。椅子自体はめちゃくちゃ良い製品でした。
アームレストが動きやすいのに関しては完全に慣れでなんとかなる部分なので、あとは背筋を矯正していくだけ…。
「こんな悩みは、あります!」と思っても勝手に直してくれるわけではないので、もちろん自分で頑張って姿勢を整える意識が必要。
そういえばランバーサポートの圧を感じなくなってきたぞ…?と思える日が来るのを願って使い続けてみます。
どんな人におすすめ?
- 姿勢を良くしたい(腰痛の対策をしたい)
- 仕事に集中したい
- 椅子の機能を細かく調整したい
- 夏場に蒸れるのを避けたい
- 組み立てが簡単な椅子がいい
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