メカニカル・ゲーミングキーボードに使われている「軸の違い」や「おすすめの軸」を紹介します。
気になるキーボードがあっても、軸(じく)とか難しくありません?
ぼくも最初は「青軸」って単語しか知らなかった……。
実はめちゃくちゃ簡単で、3種類のタイプから自分に合ったものを選べばいいだけでした。 特殊な軸は慣れてからでOK。
本記事でまとめている内容は以下の4つ。
軸の違いを知って、相性最強なキーボードと出会えるきっかけになれたら幸せです、マジで。
メカニカルキーボード:軸とは?
メカニカル・ゲーミングキーボードに100個以上並んでいるキースイッチ。その黒いキャップを1つ外して現れた青色のパーツ、それが「軸(じく)」です。
上画像の場合はそのまんま「青軸」。1つのキーボードに対して軸は1色で揃っているので、キャップを外したらカラフル~なんてことはありません。
実際にキャップを全てスポンッと外すと、こんな感じでスイッチが並んでいたり。
基本的に「軸を外せる」と書いてある製品以外は着脱できませんが、『Logicool G PRO X』のようなゲーミングキーボードだと軸のカスタマイズも楽しめます。
対応していないキーボードの軸は、はんだ付けでガッツリ固定されているので、引き抜いて壊さないように注意してくださいね。
実際にキーボードの軸を交換している手順・動画などは以下の記事でも紹介しているのでぜひ。
軸は3種類のタイプに分類される
キーボードの軸にはたくさんの種類があり、現在も増え続けています。しかし、タイプをざっくり分類するとわずか3種類。
- クリッキー:しっかりとカチカチして、音も大きい(青軸)
- タクタイル:少しカチカチして、軽めの音が出る(茶軸)
- リニア:何もカチカチせず、静かになりやすい(赤軸・ピンク軸・銀軸・黒軸)
全てがこの特徴というわけではなく、「サクサクといった軽めの青軸」や「ガリッガリッとする硬めの茶軸」、「スコーンと落ちすぎて逆にうるさい赤軸」まであったり。上記はシンプルな基準です。
この3種類から好みのタイプを決めておこう。
たまに商品ページに「赤軸」などの表記がなく「リニアスイッチ」とだけ記載されている場合もあるので、カタカナ表記も軽く頭に入れておくと迷わずに済む。
名前のイメージから「クリッキーはクリックの事だからカチカチ」、「リニアは“リニアモーターカーが滑らかに直進するから”カチカチしない」みたいに覚えると簡単です。
メカニカルキーボード:軸の種類・違い
ここまでは3つのタイプにまとめて紹介したので、「軸の種類・違い」を深掘りしていきます。
ブランドごとに様々な軸が作られていますが、今回のメインは基本になるほど有名な「CHERRY MX」の軸。よく使われている色から6種類ピックアップしました。
それぞれに添えているGIF画像でパーツの動きを確認してみると、クリック感・打鍵音の仕組みが理解しやすいです。
この6種類を知っておけば、この先に出会う特殊な軸のイメージも掴めるぞ。
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赤軸:CHERRY MX RED
- リニアタイプ(↓最初なので解説)
- 押下圧:45g(押す時に指にかかる重さ)
- 作動点:2mm(アクチュエーションポイント。キーを押し込んで入力が反映される場所)
- キーストローク:4mm(キーを押してから底までの長さ)
- 耐久性:5,000万回(叩ける回数・寿命の目安)
シンプルで滑らかな押し心地。クリック感がなく静音性が高いリニアタイプの赤軸です。
クリック部分がないのでキーを押した感覚が分かりづらかったり、軽めのタッチで誤入力しやすいのが特徴のスイッチでもあります。
カシャカシャと擦れる押し心地の赤軸もあれば、とにかく滑らかで擦れる感覚が全くない赤軸もあったり。
全ての軸にも当てはまりますが「滑らかさ」に様々な強さがあれば、キーボード本体の構造・材質も大きく影響するので奥が深すぎる部分でもあります。
押したときの反発が強いので、プレイするゲームの指使いによっては重く感じる時もありますが、基本的には静音性が高く使いやすい万能なキースイッチです。
ピンク軸:CHERRY MX SILENT RED
- リニアタイプ
- 押下圧:45g
- 作動点:1.9mm
- キーストローク:3.7mm
- 耐久性:5,000万回
ピンク軸(静音赤軸、SILENT RED)も赤軸などと同じようにクリック感がなく、特に打鍵音が静かなのが特徴です。
押下圧は赤軸と同じ数値ですが、柔らかさやストロークの短さから「ピンク軸の方が重く感じる」という面白いキースイッチ。
静かさに特化しているだけでなく、押下時の滑らかさや「底まで叩くと弾力が感じられるような感触」もピンク軸ならではの良さですね。
キーボード自体の機能などにこだわりがなければ入手しやすいですが、ゲーミングキーボードでは採用されることが珍しく手に入りづらいポジションでもあります。
打鍵音で大きな音を立てられない環境だったり、タイピング音が大きい方におすすめの軸です。
茶軸:CHERRY MX BROWN
- タクタイルタイプ
- 押下圧:55g
- 作動点:2mm
- キーストローク:4mm
- 耐久性:5,000万回
押す度に若干のクリック感があるタクタイルタイプの茶軸。種類によっては強めの引っ掛かりが感じられるものもありますが、基本的には何にでも使いやすいです。
その「引っ掛かり部分」の影響もあって、ピーク時の押下圧は55gと重く音も大きめなキースイッチ。クリック部分以外は赤軸のように滑らかに動きます。
クリック部分でストップがかかるので誤入力が起きづらかったりと、普段使いでの使用者は多め。
カチカチとクリック感のある「青軸」と滑らかな「赤軸」の中間的なポジションと言われていますが、意外と独特な押し心地なので好みが分かれる軸でもありますね。
逆に言えば、滑らかすぎる赤軸のようなスイッチより「キーを押したという感覚があった方が使いやすい」「青軸はちょっと音が大きすぎる」といった方におすすめの軸です。
銀軸:CHERRY MX SPEED SILVER
- リニアタイプ
- 押下圧:45g
- 作動点:1.2mm
- キーストローク:3.4mm
- 耐久性:5,000万回
入力の反応がとても早い銀軸。キーを1.2mm押し込むだけで入力されるほど敏感なのが特徴です。
ゲームなどでは数フレームでも速く入力できるメリットが光りますが、普段使いではキーに軽く触れるだけで入力されたりとデメリットが目立つ性能になっています。
「ただ赤軸の反応が速くなった軸かな?」と思うかもしれませんが、キーストロークが0.6mmほど短いのは“連打をする際にも大事になってくる要素”です。1タッチでも往復させると1.2mm。
他軸と同じタイミング・同じ速さでキーを押した場合は作動点の浅い方が先に入力されるので、反応速度を活かせるなら輝くキースイッチ。
FPSなどの1フレーム単位で争う対戦ゲームに銀軸はおすすめですが、初キーボード購入で普段使いが多くなりそうな場合は別軸をおすすめします。
黒軸:CHERRY MX BLACK
- リニアタイプ
- 押下圧:60g
- 作動点:2mm
- キーストローク:4mm
- 耐久性:5,000万回
打鍵感が重いことで有名な黒軸。その“重さ”がキーを押した時の「こすれ感」「打鍵音の静かさ」を表現してくれますが、基本は赤軸に近いスイッチです。
リニアタイプでは珍しい「押下圧:60g」という数値になっていて、使っていると指がじわじわと疲れてくるので長時間のゲーム・作業などには向いていません。
ただ「指が疲れすぎてもう使えない……」とはならないギリギリのラインを攻めてくるので、慣れるまでは筋トレをするような感覚が楽しめたり。
絶妙な重さがクセになる押し心地ではありますが、1つ目のキーボードやゲームに使うのは避けるべきキースイッチ。
普段使っているキーボードが軽くて物足りなさを感じていたり、キーから強めに反発される「圧」を楽しみたい方におすすめの軸です。
青軸:CHERRY MX BLUE
- クリッキータイプ
- 押下圧:60g
- 作動点:2.2mm
- キーストローク:4mm
- 耐久性:5,000万回
クリッキータイプでしっかりとした押し心地の青軸。カチカチという打鍵感を楽しめるのが特徴です。
押下圧だけ見ると黒軸と同等なので重く感じるかもしれません。しかし「カチッとなるパーツ部分が60gの圧を与えないと動かない」だけなので、タンッと強く叩いてあげると軽めに感じられます。
そしてこのスイッチの特性上、押した後はキーをしっかり上まで戻さないといけないので、カチカチ部分の下でいくらキーを動かしても入力されません。
そしてクリック感があって楽しいですが、カチカチという打鍵音がとても大きいので周囲には注意しなければいけません。公共の場・職場なんかは絶対にNG。
環境には問題がなく、「やっぱりキーボードはカチカチ音を立てて爽快に使いたい」という方におすすめの軸です。
メカニカルキーボード:軸のおすすめ
結論、メカニカルキーボードでおすすめの軸は「赤軸」です。主な理由は以下の4つ。
もちろん構造のタイプによっては、滑らかさがマイナス要素になって誤入力しやすく、底打ち音がうるさい赤軸もあります。
ただ、「押下圧を45gから48gにする微調整で誤入力を防げてるし、打鍵音もマジで静かだわ……」といった企業努力も感じていたり。小さなデメリットは頑張れば無くせる。
静音リングという「キーを底まで叩いた音」を軽減してくれるアイテムも、赤軸だと効果が出やすいです。
茶軸・青軸のクリック部分は、リングを装着する「キャップの裏側」と関係がないので、カチカチは止められません。
ちなみに、学校・職場で採用されて多くの手に馴染んでいる「メンブレンスイッチ」を“超強化”した感触が「茶軸」と近いです。なので慣れきったメンブレンからの移行なら「茶軸」もおすすめ。
もし買って失敗したと感じても、クセが少なく静音性も高い「赤軸・茶軸」ならダメージが少ないです。急に新生活でビデオ通話をするような日が来ても、「青軸」の音だと迷惑をかけてしまう(楽しいのは超分かる)。
まとめると、一番おすすめの軸は「赤軸」。これまでの慣れを含めると「茶軸」も万能です。
メカニカルキーボード:軸の特徴・選び方
メカニカルキーボードの「軸の違い・おすすめ」は紹介した通りですが、「どの軸を・どこで・何に使うか」でも選ぶべき軸が変わってきます。5W1H。
ということで、様々なシーンや特徴に当てはめて分類しました。
・軸のうるさい順(銀軸~黒軸あたりはほぼ同等)
青軸 >> 茶軸 > 銀軸 > 赤軸 > 黒軸 >> ピンク軸
・軸の反応速度ランキング(作動点の浅い順)
銀軸 >> ピンク軸 > 赤軸 > 茶軸 > 黒軸 >> 青軸
・カチカチとした感触
青軸 >> 茶軸 > 銀軸 = 赤軸 = 黒軸 = ピンク軸
・軽い押し心地
銀軸 > 赤軸 > ピンク軸 > 青軸 > 茶軸 >> 黒軸
・特にこだわりはなく、万能な軸を楽しみたい(少しの差ですが、おすすめの軸順)
赤軸 > ピンク軸 > 茶軸 > 黒軸 > 銀軸 > 青軸
・職場で静かに使いたい
ピンク軸 > 赤軸 > 黒軸 > 茶軸 > 銀軸 >> 青軸
・FPSゲームなどで素早い反応が必要
銀軸 > 赤軸 > ピンク軸 > 茶軸 > 青軸 > 黒軸
・うるさくてもいいから楽しく使いたい
青軸 >> 茶軸 > 銀軸 > 赤軸 > 黒軸 > ピンク軸
上記のような分類を基準にして、当てはまった軸のキーボードを選ぶことをおすすめします。
一応補足しておくと、全く同じ軸でもキーボード本体の構造・工夫によって打鍵感や音は変わるので注意してください。
「せっかく気に入った軸があったのに、キーボード本体まで細かく調べるとかめんどくせぇ……」と思われても悲しいですし、奥が深すぎる部分でもあるので軽く頭に入れておけば十分。
最終的に「“キーボード名” レビュー」で検索したり、YouTubeで打鍵音を聞いてみてビビッと来たらOKです。それでもがんばり過ぎなくらい。
メカニカルキーボード:軸のまとめ
- 軸ごとに軽さ・反応の良さ・底までの距離が違う
- 押し心地や打鍵音にも影響するので、使用環境に合わせて選ぼう
- 特にこだわりがないなら、おすすめは赤軸
「ゲーミングキーボードを使ってみたいだけなのに、なんじゅっしゅるいも軸を見せられてワケが分かんねえよ!」と苦しんでいたので、主な6種類に絞ってみました。
自分の環境を「選び方」に当てはめて、その軸が搭載されているキーボードを選ぶといいね。
「やっぱり触って確認したい」という場合は、秋葉原(ツクモ eXの2階 or 地下)などの店舗に行くのもありです。新作まで置いてくださって助かるんですよね。
レビューするときに、持ってない製品と比べる必要があるのでお世話になってます。店員さんがお客さんに「使用感を教えている声」も耳に入ってくるので丁寧さが伝わる。
近くにそういった店舗がないときは、アクリルキーボードテスター(サンプラー)を使うのもありです。
少し品薄気味ですが1つ持っておくだけで様々な軸の打鍵感をチェックできて、高額なキーボードを一発勝負で買う前の保険になりますよ。
記事中で「主な6種類を知っておけば、この先に出会う特殊な軸のイメージも掴める」と言いましたが、どうですかね?
「茶軸」を知ることで似た色の「オレンジ軸」がタクタイル系だと分かったり(黄色軸はなぜかリニアだけど)。「緑軸」と聞いたら「青軸」に近いクリッキー系なんだ~と想像しやすくなったり、世界が広がってハッピー。
最後まで読んでくれたあなたも、色だけで軸がイメージできるようになっているはず、絶対。
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